2011年10月30日日曜日

絵本のすすめ10-「ないしょのおともだち」











   きのうは宮城県石巻市で商工会議所の方々と、水産加工業の復興、とくに二重債務の問題について、話し合いました。一刻もはやく、対策をすすめないと、被災地の中小企業は立ち上がれなくなってしまいます。

   けさ、高速バスで、石巻から仙台へ。 バスはほぼ満席。とちゅうの停留所で、4、5歳くらいの女の子とお母さんが乗ってきました。女の子は空いていたわたしのとなりの席に飛びこむようにすわり、お母さんはその横の補助椅子に。

   桜色のほっぺをした女の子は、バスが動きだすと、赤いリュックから1冊の絵本をとりだしました。
「ねずみくんのチョッキ」(作・なかえよしを、絵・上野紀子)です。
   いい本をもっている。これを選んだお母さんは、いいお母さんだとおもいました。女の子は、ニコニコしながら、ひざのうえで、ゆっくりゆっくりページをめくります。わたしもついつい一緒に見入ってしまいました。

   ところが、最後のページにたどりつくまえに、女の子はお母さんにもたれて、うとうとしはじめました。 蔵書の一冊でもあり、何度か読んだことのある絵本ですが、どうしても結びの絵が思い出せません。
   勝手にページをめくるわけにもいかず、あきらめかけていたら、お母さんが 「この本が好きで、いつも離さないんですよ」 といって、さりげなく最後のページを開いてくれました。やっぱり、いいお母さんだとおもいました。


  「ねずみくんのチョッキ」だけでなく、絵本にはねずみがよく登場します。現実のくらしでは嫌われもののねずみですが、どういうわけか絵本のなかでは、いつも清潔でかわいい存在です。

   おすすめは、「ないしょのおともだち」(ビバリー・ドノフリオ作、バーバラ・マクリントック絵、ほるぷ出版)。女の子とねずみの交歓のしぐさが、ていねいに描きこまれた絵によって、愛らしく表現されています。2010年版海外翻訳絵本部門「この絵本が好き」第1位。