2011年10月24日月曜日

乱読のすすめ14-坂田昌一「原子力をめぐる科学者の社会的責任」











坂田昌一博士(1911-1970年)

   けさの新聞で、物理学者・坂田昌一博士の生誕100周年を記念した論集、「原子力をめぐる科学者の社会的責任」(樫本喜一編、岩波書店)が刊行されたと知り、さっそく今夕、神田の岩波ブックセンターで手に入れて一気に読みました。

    ときは1950年代から60年代。 坂田昌一博士は、ノーベル賞を受賞した湯川秀樹、朝永振一郎博士とならぶ、日本を代表する物理学者でした。
  坂田博士は、「民主」「自主」「公開」の三原則をかかげ、拙速に原子力開発をすすめようとする当時の政府と正面からむきあい、「原子炉安全審査機構」のありかたを痛烈に批判するなど、身をもって科学者の社会的責任を果たそうとされました。本書は、その論述の記録です。


   坂田博士の信念の奥底には、戦時中の科学者がとった行動にたいする反省がありました。
  「過去において日本の科学者は政治家や軍人の意のままに動く一介の職人に身をおとし、犯罪戦争に協力して巨額の研究費をかせいだ…私は日本の科学者が学者としての節操をまげ、不浄の研究費によって学問の尊厳を汚すことが二度とあってはならないと切に願う」

   また博士は、現代を「第二の文盲の時代」として、愁嘆されています。
「…第一の文盲というのは、これは申すまでもなく字の読めない人がたくさんいる状態でありますけれども、この第二の文盲というのは、現代という時代が科学が非常に巨大な潜在力にまで発展して、人類の歴史をゆさぶるような状態になっているにもかかわらず、人類にたいして科学がなにをもたらしているかについて、科学者自身をふくめ大部分の人が無知の状態である、そういう状態のことを第二の文盲といったわけであります」

  坂田博士が危惧した延長線上に、今回の東電福島原発の事故は起きました。

   わたしたちは、もはや無知であるわけにはいかないのだと、強くおもいました。