2012年4月25日水曜日

AIJ事件-もうけたのは誰だ?

映画  「ペーパームーン」」










   映画に出てくる詐欺師は、どこか憎めないところがある。
   映画「ペーパームーン」(1973年)は、聖書を売りつける詐欺師の男(ライアン・オニール)と、母親を交通事故で亡くした9歳の少女(テイタム・オニール)が、詐欺をしながら旅をつづけるうち、本物の親子のように絆を深めていく物語。 テイタム・オニール の名演技(アカデミー助演女優賞受賞)もあり、情感ただよう名作です。
   また、映画「スティング」(1973年)は、詐欺で日銭を稼ぐ若者(ロバート・レッドフォード)と、伝説的詐欺師(ポール・ニューマン)が力をあわせ、宿敵のギャングを大がかりな詐欺で破滅に追い込んでいくストーリー。華麗なる手口に爽快感が残ります。

   ところが、現実の詐欺師はなんと黒々とした存在なのか。とくに昨今、多発している金融がらみの詐欺は、被害が広範囲におよび手口も複雑で、その分、発覚したあとは、余計ドロドロとした欲望と卑しさを感じます。
   その典型が、中小企業ではたらく労働者の年金を消失させたAIJ事件。しかもこの事件には、浅川社長などの「プレーヤー」だけでなく、「スポンサー」がいました。

2012年4月20日金曜日

乱読のすすめ52-「トスカーナの花野」


JTBパブリッシング













   乱読のすすめ15でご紹介した93歳の日本画家・堀文子さんの画文集。ことばはいさぎよく、絵には澄みきった美しさがあります。
   イタリアの盲目のテノール歌手、アンドレア・ボチェッリの出身もトスカーナ地方。ボチェッリのカンツォーネなど聴きながらこの画集をめくると、イタリア旅行をしている気分になれるかも。
  
   (本文「トスカーナの春」より)

   “ 齢七十を超した今、残り時間は少ない。幸い私は振り分け荷物で一人旅のできる丈夫な足腰をまだ持っている。様々な付き合いから席をはずして義理を欠いても、許される歳になった。老年万歳である…。1988年の3月、イタリア語を学ぶひまもなく、無謀にも見知らぬ国の暮しに胸をときめかせ旅立った… ”

2012年4月18日水曜日

乱読のすすめ51-「チャイコフスキーが なぜか好き」

絵  金井英明 










   4月16日のしんぶん赤旗の文化欄で、ロシア文学者の亀山郁夫さんの新刊「チャイコフスキーがなぜか好き」(PHP新書)が紹介されていました。
   タイトルが自分の気持ちにぴったりだったので、すぐに国会の書店で手に入れ、その日のうちに読み終えました。
   チャイコフスキーというより、ロシア音楽全体の解説書で、亀山郁夫さんらしいロシアの歴史と文化にたいする深い愛着と、対象にがっぷり組み合う気迫を感じました。もちろん亀山さんにとって重要な位置をしめるのはチャイコフスキー。10歳のとき、はじめて「くるみ割り人形」を聴いてから、ロシア音楽への熱中がはじまったといいます。

   わたしの場合、チャイコフスキー以外のロシア音楽などよくわかりません。「チャイコフスキーがなぜか好き」なのも、子どものころ、母がレコードでチャイコフスキーの「悲愴」をうっとりして聴いているのを見ていたからです。なんでも、初恋の人の思い出の曲だとか…。

2012年4月16日月曜日

じじ放談7ーミサイルごっこはやめてんか








   乙松
   「甲さん、 なんか眠そうやな。北朝鮮のミサイルが不安で寝られへんかったんか?」
   甲太郎
   「ちゃうねん。うちのばあさんや。夜中にガオー、ガオー、怪獣に変身しよるねん」
   乙松
   「そら、かわいそうに。うちの福笑いちゃんの寝息はオルゴールみたいに可愛いで」

春色に衣替えした福笑いちゃん








   甲太郎
   「ところで、北朝鮮はミサイル発射失敗で大恥かいたな。金正恩(キム・ジョンウン)の跡目相続のお祝いが台無しや」
   乙松
   「それだけやないで。ミサイルを太平洋をこえてアメリカまで飛ばせるぞと示して、外交カードにするつもりが、近くの黄海(こうかい)に、テポチョンと落下してしもた」
   甲太郎
   「さぞかし、こうかい、しとるやろな」

2012年4月14日土曜日

絵本のすすめ38-「おとうさんはウルトラマン」

作・絵 みやにしたつや 学研













 
   おとうさんは ウルトラマン。おとうさんは いつも いう 「おとこは すぐに ないたら だめだ!」(…でも、おとうさん自身、なきたくなることもある)
   おとうさんは しつけにきびしい(…でも、自分はあとかたづけが、にがて)

   とにかく、こどもが可愛くて可愛くてしかたがないウルトラマンおとうさんのおはなし。この絵本に胸がキュンとなるのは、お父さんたちだけでしょうか。

2012年4月12日木曜日

乱読のすすめ50-「ふたたびの春に」

東京市ヶ谷のサクラも満開












  先日、久しぶりに休みをもらい、リュックに本2冊と缶ビール2本を入れて、サクラめぐりに出かけました。
   六本木、四谷、市ヶ谷、浜離宮、お台場、亀戸天神、隅田川公園と、途中、電車にも乗りましたが、歩いた距離だけで十数キロ。体重も400グラムほど減りました。
   隅田川公園からは、話題のスカイツリーが見えました。立派なタワーですが、色が灰色に見えるせいか(スカイツリーホワイトというそうです)、殺風景で無機質な感じがしました。東京タワーみたいに少し着色すれば、ロマンチックなのに。
   なにはともあれ、桜を満喫。しばらくぶりに、おだやかな時間を過ごさせていただきました。

   桜の木の下で読んだのが、藤沢周平「隠し剣秋風抄」と和合亮一「ふたたびの春に」。
   「ふたたびの春に」(祥伝社)は、福島県在住の詩人で中原中也賞を受賞した和合亮一さんの詩集です。3・11からの1年を詩で記してあります。そのなかの「握手」という作品を紹介します。

2012年4月10日火曜日

「だますつもりはなかった」 詐欺罪おそれるAIJ社長


私の質問を聞く、AIJ浅川社長(右)と
アイティーエム証券西村社長(左) 4月3日











   中小企業などの年金資産、約2000億円を消失させたAIJ投資顧問事件。AIJの浅川社長は顧客に虚偽の運用実績を伝え、資産消失の実態を隠ぺいし続けました。その隠ぺい工作に使ったのが、AIJが実質支配しているアイティーエム証券(西村社長)です。
   4月3日、参議院財政金融委員会で参考人質疑がおこなわれ、浅川社長と西村社長に質問しました。

2012年4月9日月曜日

映画のすすめ12-「鉄の女」<理屈はあとから付いてきた>


マーガレットサッチャー
(メリル・ストリープ)










   名優メリル・ストリープ主演の映画「マーガレット・サッチャー、鉄の女の涙」を観ました。
   弱肉強食、自己責任を説く新自由主義の先駆者、イギリスの元首相サッチャー。その政権末期、人頭税(お金持ちも低所得者も一律の税金を払う制度)に反対する国民の声に対して、サッチャーはこう言い放ちます。 
   「私は上流階級出身ではなく、貧しい商家の娘から、自分の努力でここまでやってきました。みなさんも、やればできるはず。できるのにやらないほうが悪いのです」 
 
   原題は「THE IRON LADY」(鉄の女)。サッチャーの家族への思いや内面が描かれていますが、メリル・ストリープの名演技にもかかわらず、サッチャーの人間味が伝わってきません。邦題の「涙」は余計です。

   映画をみて、ふとおもったのは、貧しい家庭に育ちながらも学歴・教養を身につけ、社会的地位を獲得した人は、二通りの人間にわかれるのではないかということでした。

2012年4月7日土曜日

夜桜満開

東京千代田区 千鳥ヶ淵のソメイヨシノ











   国会から一番ちかい桜の名所といえば、皇居の北側にある千鳥ヶ淵です。参議院の予算委員会が終わり、一息ついた夜、ぶらりと歩いてみました。

   「江戸はこうして造られた」(鈴木理生、ちくま学芸文庫)によれば、千鳥ヶ淵は、江戸城築城のとき、防衛のためだけでなく、家臣団と住民の飲料水確保のために、城周りの小さな河川をダムで堰きとめてつくられたとのこと。